今までいくつも経営上の勘違いをしてきて、
最近ようやく分かってきたことがあります。
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その一つが、売上や利益を増やすことを目指すのではなく、
一番大切なのは「キャッシュ増」だということ。
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P/Lで言うならば、「売上」でもなく「営業利益」でもなく、
「経常利益」でもなく、「税引き前利益」でもなく、
納税額を差し引いた「当期純利益」に焦点を合わすべきなのです。
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もっと言うならば、当期純利益がそのままキャッシュ増とは言えず、
在庫や不動産に姿を変えてしまっているかもしれません。
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さらに言えば「キャッシュ」自体の価値が下がることもあり
(例えばハイパーインフレーションや極端な円安)、
こうなると相当頭を使わなくては(あるいはいくら頭を使っても)
正しい答えをなかなか見出せません。
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従って「キャッシュをどう増やすか」というのと
「保持するキャッシュの価値をどう目減りさせないか」は
別の問題として考えるべきなのでしょう。
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いずれにせよ、企業の社会的使命とか存在理由とかの
ミッションは別にすると、ビジネスの目的は「現金を増やすこと」
に尽きるのではないかと思うのです。
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会社を大きくしたり、社員を増やしたりすることと、
キャッシュを増やすこととは必ずしも一致しません。
むしろ逆のベクトルを持った動きになることがあります。
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経営コンサルタントや税理士の中には、1人で仕事をし、
しかも業績を上げている人たちが少なくありません。
ITの発達が、それを可能にしている側面も否定できません。
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ある経営コンサルタントは「スタッフが4人いるけれど、
すべて自宅勤務で、しかもその中の2人とは年に1度会うだけ」
とのことでした。
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不動産売買仲介業をやっている会社で、
社長1人で上げる仲介手数料が、
その会社にいる営業マン10人分よりも大きく、
しかも営業マンの人件費で赤字になっているところがあります。
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こんなのは「とっとと社長1人で仕事する会社にすればいいのに」
とハタから見て思いますが、その踏ん切りをつけるのは相当大変で、
本人的には大決断しなければならないわけです。