商売の方向

会社や人は、成長の過程において「足固め」をしなければいけない時期というのがあるようです。
シッカリと土台を固めておくべき時期に、無暗に拡大路線を取ると、破たんするリスクが高くなります。

お店の場合、1店舗目で上手くいくと、2店舗、3店舗と出したくなります。
普通の場合、大体3店舗目でおかしくなることが多いようです。
1店舗目が大繁盛した居酒屋が、その勢いで2店舗目を出し、そこも“そこそこ”行けたので、3店舗目に大型店を出したところ、見事に倒産してしまった例を身近で知っています。

1店舗目はオーナー自ら包丁を握っていたのですが、多店舗化すると「料理の腕」ではなく「経営の腕」が問われるようになります。
経営の才能があるかどうかは、やってみなければ分からない所があり、そしてまた「才能あり」の確率は10分の1くらいのものではないでしょうか。

コインパーキングなら「多店舗化」しても人の問題は生じないのですが、食べ物商売や小売業だと必ず人を増やしていかなければなりません。
ただでさえ人が集まらない時に、店を増やしていける人は「超・才能あり」だと思います。
しかしながら、もっと頭のいい人は「スタッフを増やさないとできない商売」はやらないのではないかと思います。

スタッフを増やしていくと、それに比例して「余計な仕事」も増えていきます。
本来はお客様の方を向いてやっていかなければいけないエネルギーを、内部のスタッフのためにも割(さ)いていかなければならないからです。

特に会社が小さくなればなるほど、優秀な人が来る確率が低くなっていきます。
社長が「優秀な人材の採用の仕方」や「社員の活性化」に関心を持つのは当然ですが、そこに傾注している間に、肝心の顧客サービスが疎(おろそ)かになり、ひどい場合は経営の柱が傾いてきたりします。

経営には色んなやり方があるので、一概にどれがいいとは言えないのですが、私自身は極力「人が少なくてすむ」ビジネスを目指そうと思っています。
先日、たった1人で(厳密に言うと社員3人の会社で)「年間納税額」3億円(売上でも利益でもありませんよ!)の方とメールでお話しました。

仮に利益を1人で年間5億円出せる商売ができるのであれば、そんじょそこらの経営学なんて学ぶ必要はありません。
私は5億円も利益が出なくてもいいから、牛のよだれのような息長い商売を目指したいと思ってます(でも、もし商売の神さまが「利益5億円出させてあげる」ということであれば、決して断りは致しませんが…)。