ランチェスター戦略

扱う商品を日本酒だけに絞って、そこから飛躍的に成功した酒小売店の社長が書いた本を読みました。
ビールもワインも商品から「捨てる」わけです。
が、日本酒だけを取り扱おうと思っても、人気のある銘柄の日本酒は、たとえ酒屋であってもなかなか手に入らないのだそうです。
また、見知らぬ酒屋には蔵元が売ってくれないこともあるとのこと。

有名な日本酒が思うように手に入らないので、知名度がまだ低いけれど美味しいお酒を、全国を回って探して来たそうです。
いい商品を見つけ、そしてそれを市場の中で育てていきました。
経営が苦しかったのに、今では小ぎれいなお店を何店舗も出したり、新幹線の駅なかへの出店をしたりして、日本酒専門店として成功を収めています。

この例を見ても、商品や地域や顧客の絞り込みこそが、中小企業の繁栄のカギだという気がするのです。
何でもかんでも取り扱っていたのでは、そのお店や会社の特徴は何もないのと同じです。
何かに特化していくことで、その店の特徴や強みが出ているのだと思います。

中小企業だけでなく、あのGE(ジェネラル・エレクトリック社⇒エジソンが創業者です)ですら、その市場でのナンバーワンかナンバーツーでない事業はすべて捨て去りました。
結果、劇的に利益を増やしたのです。

学生時代にランチェスターの法則の本を読んでいて、本当に良かったと思います。
当時は田岡信夫さんの本しかなかったと記憶していますが、5冊くらいあったランチェスター法則のシリーズ本を繰り返し読みました。
おかげで骨の髄までランチェスター法則の考え方が染み透り、以降の自分のビジネスに大いに役立ったように思います。

例えば仮に、ランチェスターの法則を当社に「劇的に」当てはめるとすると、次のような戦略が考えられます。
宝塚駅から歩いて行ける範囲だけを営業エリアとする。
② 事業を「コインパーキング」と「収益不動産(賃貸オーナー業)」に絞る。
③ 収益をインカムゲインのみに絞り、キャピタルゲインは狙わない。

博多・中州(夜の繁華街)の店舗の、仲介と管理に絞って業務しているF不動産は、ランチェスター戦略を活かし大成功しました。
かつては仕事があればどこへでも出かけ、移動だけで1日が終わるなどということがあったそうです。
移動の時間は仕事ではありません。

そんなF不動産でも、ランチェスター戦略を知ってから、実際に実行するのに2年もかかったとのこと。
「絞れば効率がいいのは分かるけれど、カットしたら、その分売り上げが下がるよなぁ…」との思いがあったからです。
どこかで本気で思い切らないと、開運のドアはなかなか開いてくれません。