『自己啓発書を読んでベンツを買った話』

自己啓発書を読んでベンツを買った話』(チェ・ソンラクきこ書房・1,400円)を読みました。
著者は韓国で一番優秀なソウル大学を卒業し、今は大学教授をしています。
しかしながら大学教授の給料ではとてもベンツは買えないのです(年収は約400万円だそうです)。

専門の学術書を読む合間に、気晴らしとして自己啓発書を何冊も読み出しました。
大抵の自己啓発の本では「自分の望むことを紙に書き出す」ということを教えています。
著者も自己啓発の本を何冊も読むにつれ、一度「自己啓発書」に書いてあるようにやってみようという気になったそうです。

自己啓発書を読み出してから、実際にその気になるのに著者の場合2年かかったとのことです。
しかし一度その気になると次々に夢が実現していきました。
今はベンツにも乗っているし、憧れのタワーマンションにも住んでいます。

ソウル大学と言えば東大のような存在で、しかも著者は経済学部を卒業していて「お金」には一番近い学問を修めたわけです。
しかしながらベンツが買える状態からは程遠く、自己啓発書を読んでこなければ永遠にベンツは手に入らなかったと述べています。

夢は出来るだけ具体的にビジュアルに描くと実現しやすいことも、著者自身が体験しています。
「1万時間の法則」というのがあり、何かに1万時間費やせば、その道で一流になる」というものです。
書くことによって、1万時間を何に費やすのかをハッキリさせるという効果があるのかもしれません。

16世紀ぐらいまでは東洋の方が西洋の文明を凌駕していました。
ところが16世紀以降は西洋のパワーが増し、東洋のほとんどの国々が西洋の植民地にされてしまいます。
著者はその背景に西洋における「数量化革命」があると言います。

「ちょっと重い」と言っていたのを「6キロある」と言ったり、「もう少し上の方へ砲弾を打つ」と言っていたのを「42度の角度で打つべし」と指示したり、とにかく数字でやるべきことを言い表すのです。
その間の簿記や会計学の発達も「数量化革命」の一端で、大いに西洋の文明発展に寄与しました。

「目標を紙に書く」わけですが、より具体的に「数字」で書けるものは数字で書くべきなのです。
そのほうが潜在意識には伝わりやすく、夢の実現がより早くなります。

著者はフィットネスクラブに1回行っただけでは体が鍛えられるわけがないと言います。 
継続してやっていかないと効果がないのは当然です。
自己啓発書も同じことで、1冊ぐらい読んだのでは効果が出ないわけです。
が、何冊も何冊も読み続けると次第にその考え方が自分の血肉になっていきます。

大学教授によって冷静に客観的に語られているのですが、自己啓発の方法を実践していくうちに、やっぱり夢が実現してしまったというところが実に面白いのであります。