逆転の発想

世間的には60代になったら、もうそんなに働かなくてもいいということになっているので、今までとは違う発想が出てくるようになってきました。
例えば「人に任せられるものは、出来るだけ人に任せよう」というのも、かつても私からはあまり出てこなかった考え方です。
今まではとにかく率先垂範あるのみでした。

今はもう一歩進んで(後退して?)「仕事はできるだけ丸投げしてしまおう」という気持ちに変わってきています。
実際、私自身がやるより、スタッフがやるほうが早いし上手いのです。
当社は質の高いスタッフばかりなので、こういった考え方が許されるのかもしれません。

「今日できる仕事を明日に延ばさない」などとよく言い聞かされてきたのですが、「明日できる仕事は明日に回そう」というのは若い頃にはなかった考え方です。
明日でいい仕事まで今日やってしまうと、ムダやムリが出てくるのです。
私は勝手に「95歳までバリバリ現役宣言」をしたので、時間はたっぷりあります。
だから明日に回せるものは遠慮なく明日に回してしまおうと思っています。

ちょっと違うかもしれませんが、身近な例で言うと、当初水泳を始めた頃「1回につき15分だけ泳ぎ、それ以上は泳がないようにしよう」と決めていました。
今から思うと、これは正解だったのです。
が、泳ぎだすと一種の「スイミング・ハイ」のような状態になり、泳いでいるのが面白くて仕方なく、とても15分では終わらなくなってしまいました。

結局、ここ2,3回は1回に付き45分も連続で泳いだりしていたのです。
そうすると次からも45分以上泳がなければいけないような錯覚に陥り、今度は逆に行くのが億劫になるのです。
結果としてこの1週間は一度も水泳に行くことなく終わってしまいました。

以前のように「とにかく15分だけ泳いでくるのだ」という気持であったなら、週のうち2回ぐらいは行くチャンスがあったように思うのです。
これなど「頑張ったからダメにした」典型例だと思うのです。
物事を続けるコツは「もう少しやりたかった」で止めてしまうことだと気づきました。

若い頃なら顰蹙(ひんしゅく)を買っているはずの「いかに楽をして大儲けするか」という考え方に最近は傾いております。
もう少し体裁よくいうと「利益率の高い商品やサービスに事業をスライドさせていくべきだ」というものです。

「いかに不労所得で悠々と事業を行っていくか」ということも考えています。
自分が頑張れば頑張るほど苦しくなり、会社を大きくすればするだけ儲からなくなる経験をいっぱいしてきたからです。
汗水たらして働いたお金では、飛行機のファーストクラスに乗る気にはゼッタイなれません。