組織と選挙

選挙による議会制民主主義は最高の政治形態かと聞かれれば、そうでもない気もします。
が、独裁や最悪の政治を防ぐためには、かなり有効な政治体制であることも事実です。
ただしヒトラーも合法的にドイツ国民の支持を受けて政権を取ったわけで、この辺はなかなか難しい政治的な問題です。

国にせよ、会社にせよ、何かの組織にせよ、トップに徳がないと災難が押し寄せるというのは事実だと思います。
従って組織のトップは徳を積まねばなりません。
阪神大震災や東北大震災の時のそれぞれの2人の総理を見ても、その言動が日本の神々の怒りを買ったとしか私には思えません。

またリーダーに運がないと本人も下の者も悲惨です。
戦争のように極端な状況では「軍隊は運隊」で、リーダーの運不運が部隊の生死まで分けてしまいます。
日露戦争の時の連合艦隊東郷平八郎は、一時は閑職に回されていたのですが「東郷は運のいい男」のひと言で司令長官に推挙されたと言われています。
大相撲でも特定の理事長の時に不祥事が続出し、厳しい言い方になりますが、やはり徳や運の面で問題があったのかもしれません。

選挙の話に戻ります。
よく市長選などで、投票率が30%程度の時があります。
3人に1人で33%なので、それ以下の投票率ということになります。
ということは3人に1人の半分、即ち6人に1人が投票してくれれば当選してしまえるということになります。
6人のうち5人に嫌われていても、たった1人が投票してくれれば当選なのです。
乱立選挙であれば、ひょっとしたら10人に1人が入れてくれればいいという状況もあるかもしれません。
これって本当に民意を反映しているのかと思うぐらいですが、そういうルールなので勝ちは勝ちなのです。

政治の首長は選挙で選ばれますが、これが会社だとどうでしょうか。
仮に選挙によって社長が選ばれるとしたら、その会社は経営危機になる確率が確実に高くなるように思います。
また借入が多い中小企業の場合、例え選挙で社長に選ばれたとしても、借入の個人保証をしなければならない役職を、誰が好き好んでやるでしょうか。
真剣勝負の組織には選挙は相応(ふさわ)しくないのです。