狭域エリアで1番に

福岡には中洲という有数の歓楽街があります。
「ソシアルビル」という、スナックやクラブや居酒屋やキャバクラなどが入っている、いわば飲み屋さん専用のビルが中洲にはたくさんあります。
その店舗仲介では断トツ・ナンバーワンの不動産会社の社長のお話を聞く機会がありました。
中洲というのは川に挟まれた文字通り「中洲」なのですが、その中には約100棟のソシアルビルがあり、オフィスビルや居住用のマンションはほとんどないのだそうです。

中洲という狭いエリアで、しかもソシアルビルの店舗の賃貸だけを扱って、その会社はスゴイ業績を上げているのです。
店舗の半径500mが営業エリアで、自転車だと5分、徒歩だと15分の範囲に納まります。
営業車も必要ないのです。
商圏を絞り、その中で1番になるというランチェスター戦略の威力が見事に発揮されている例でもあります。
大手が入ってこないような小さな商圏で1番になることが、中小企業にとってどれほど重要なことかを改めて認識しました。

移動時間はムダなのです。
「商品」・「地域」・「顧客層」を限定し、限定をした中で1番になるべきなのです。
エリアを中洲に絞り、その中でミニコミ誌を発行したり、飛び込み営業をしたり、看板をたくさん設置したりして、ほかの地域には目もくれず、とにかく中洲に経営資源を集中するわけです。
看板の例で言えば、今では中洲のビル100棟のうち35棟にその会社の「募集看板」が付けられているのだそうです
飛び込み営業をし、最初は相手にしてもらえなかったのが、5回目ぐらいから親しく感じてもらえるようになるとのこと。

営業とは“つまるところ”接触の回数だと思うのですが、相手から5カウントいただければ、商談が成功へと導かれる確率がグンと高くなるという「5カウントの法則」も教えていただきました。
面談が1カウントとすると、電話やファックスやメールや手紙は0.5カウント。
それらをいかに積み重ねて5カウントにまで持てくるかが、営業努力なのです。
経験則では、月に150カウントを稼ぐと、月に150万円の仲介手数料を上げることができるのだそうです。
従って普通の営業会社では、社長が「成果を上げよ!」と声を張り上げるのですが、この会社では「カウントを稼げ!」となるわけです。

例えばミニコミ誌をエリアに毎月配っていく場合、その行為は1回0.1カウント。
とても小さいカウントなのですが、1年で1.2カウントとなります。
4年だと4.8カウント、即ちほぼ5ポイントとなるわけですが、そうするとやはり反響が出てくるのだそうです。
ミニコミ誌という営業手法を4年続けると効果が出るわけですが、4年間成果もないのに我慢できるかどうかが問われます。
「継続は力なり」で、やり続けないと意味がないのです。