購入している定期レポートより その2

今は都市同士が競争しあう時代です。
東京のライバルはニューヨークであったりロンドンであったりパリであったり、北京や上海であったりします。
人や企業が自分が一番適しているところへ、あっさりと移動する時代でもあります。
仮に日本国内の都市で税率が違うならば、当然税額の安い場所に移動するのが自然でもあります。

税金を取れるところから取ってやろうと為政者が試みても、今まで税金をシッカリと払ってきた企業が、外国に本社を移す可能性も出てきているのです。
高福祉を掲げて消費税を始め色んな税金を上げるのはけっこうなのですが、福祉の恩恵に浴さない若者が海外に出てしまうことも考えられます。
税金の高負担者層である専門職や優秀な経営者や富裕層が大量に海外に移ってしまうと、日本の国力がガタガタになってしまうのは、火を見るよりも明らかです。
そういう意味でも安易な増税は非常に危険でもあります。

企業は長いトンネルをくぐり抜けるために、さまざまなコストカットを試みてきました。
選択と集中」も本気で実施されました。
いずれも人を減らす方向です。
得意な分野に事業を絞り、またコストを落とすことに成功した企業の中には、高収益企業に生まれ変わったところもあります。
ところが人件費は以前に比べると大幅に減り、社員数も半分になったというところが少なくありません。

アメリカの企業業績が大幅に改善しているのに、失業率がなかなか下がらないという現象がありますが、要するに企業は本当に必要な人しか雇用しないという状況なのです。
企業から求められる人材と、職を求める人材とのギャップが、とても大きくなっているのです。
特に能力主義が極端になると、人件費は単なるコストであり、いらぬ人材はカットした方が業績にプラスになるわけです。
アメリカでは常に成果が求められ、ある意味では「落ち着いて仕事ができない」ということでもあります。

金融やITの世界は、能力主義が尊重されます。
アメリカでは特にそれが顕著です。
ビル・ゲイツやスティーブ・ジョッブスのようなスーパースター(つまり大金持ち)を輩出させたわけですが、それでアメリカが豊かになり、国力がついたのかと言えば、そうでもないのではないでしょうか。
失業率は相変わらず増え、国際的に見たアメリカの国力は低下しているのは否定できません。
どこかおかしいと言わざるを得ないのです。