山あれば谷あり

社員が100人ぐらいの地域ナンバーワンの不動産会社の社長をしていた友人がいます。
オーナー(会長)と上手くいかなくなり、その会社を辞めて独立しました。
物凄く仕事の出来る人なので、今後どういう動きをしていくかが楽しみなのですが、今は事務員さんと2人だけの会社なのだそうです。
幸いにして固定費が低いので、新しい会社を設立以降、ずっと「仕組みづくり」を考えているとのことです。

「仕組み」は「ビジネスモデル」と言い換えてもいいかもしれません。
確かに最初にキチンとした仕組みをこしらえてしまえば、あとのスピードが全然違ってくるに違いありません。
ソフトバンクの孫さんも、会社設立後1年ぐらいは実際の仕事を全くせずに、徹底的に「何の仕事をしていくか」を考え、一つ一つにシッカリとした企画書を作っていったのだそうです。

会社を長い間経営していると、いろいろな垢や脂肪がついてきます。
常に革新をしていかないと筋肉質の体型を保って行くことは難しいし、節目節目でビジネスモデル自体の見直しがどうしても不可欠だと思うのです。
新しい事業や商品を始める決断も必要ですが、やめる決断はもっと大事だと思うのです。
会社の調子がいいと経営者はついつい油断してしまうのですが、遊びほうけていては次の一手を打ち損ねることは間違いがありません。

会社経営は地味でもいいから、とにかく長く続けることが肝要だと思っています。
一時期大儲けして羽振りが良くても、いつの間にか姿を消している会社をいくつも見てきました。
上場会社でも例外ではありません。
経営者はいつもリスクと隣り合わせなのですが、先日読んだ本で、エリートサラリーマンでも大きなリスクがあることを知りました。

その本の著者はIBMのパソコン部門で若くして出世したビジネスエリートだったのですが、その部門が何と中国のレボノ社に売却されることになったのです(余談ですが、その時IBMからレボノに移った1,000人のうち、今なお残っているのは、わずか3人とのことです)。

結局著者は会社を辞めたのですが、すぐに次の就職先が決まり、年収もアップしました。
ところが次第に居心地が悪くなり、退社して次の会社に。
そんなことを2,3回続けた後、本格的なIT不況がやってきて、全く就職先がなくなってしまいました。

著者はそれでも楽観的で「自分ほどの能力があればいつでも再就職ができるはず」と、こともあろうに2,000万円かけてポルシェを購入。
そのほかにもビジネスエリートの時に、いくつもの高級腕時計やマンションなどを買っており、1億数千万円の負債を抱え、月々180万円の返済をしなければならない羽目に陥りました。
職もないのに月180万円の返済では持つわけがなく、今は自己破産申請中なのだそうです。
傲慢さが身を滅ぼすのは、何も経営者だけではないことがよく分かりました。