年千冊の読書力 その27

昔『書を捨てて街に出よう』という本がありました。
その伝(でん)でいくと私の場合は「書を持って旅に出よう」。
本を読むための旅があってもいいと思うし、本の購入を目的とする旅があってもいいと思うのです。
実際、海外旅行の飛行機の中や、新幹線は読書の書き入れ時でもあります。

本を読むための旅があってもいいのなら、本を読むための人生も「あり」かもしれないという気がしてきました。
「読書を中心とした穏やかな生き方」は私の理想でもあるのです。
いずれにせよ、読書が知的生活のコアであることは間違いがありません。

台北の「国父記念館」(国父というのは蒋介石ではなく、孫文のことです)に「読書救国」という言葉が掲げられていました。
「国のために学問に励む」といった意味です。
明治時代の日本人留学生の気概のような言葉です。

私は中学3年生まで、勉強と読書が大嫌いでした。
それが今や勉強も読書も大好き人間になっているのですから、人生どう転(ころ)ぶか分からないものです。
ついでにいうと仕事もかなり好きなのです。

読書の時間を取るためには、生活をシンプルにするのが、一番手っ取り早いと思います。
私はテレビや映画をほとんど見ないので、歌手や俳優の顔も名前も知らないことが多く、あまりの知らなさに時々妻があきれています。
でもテレビを見ている時より、本を読んでいる時の方が、気持ちの充実感が圧倒的に上であるのは間違いがありません。

本には何でも書いてあります。
本は手軽に読めます。
本を読めばいい人生がやって来ます。
本を読めば収入だって増え、豊かな人生が待っています。
本を読めば、おだやかな人格になります。
すると穏やかな友人や仲間が増え、極端な言動にとらわれない「中道」を歩むことができます。
本を読む人は、明らかにほかの人とは違ってきます。
本を読む人の目からは光が出ています。