日本経済の底力 その1

「日本の失われた20年」というのは、ひょっとしたら「日本の進んだ20年」だったかもしれません。
昭和末期のバブル崩壊以来、絶好調の欧米や新興国経済を横目で見ながら、日本経済はもがき苦しんできました。
私は日本の不動産バブルとバブル崩壊の経験者なので「アメリカの不動産バブルは必ず潰れる」と言い続けてきました。
ただし実際に崩壊するまで10年かかったので「予言が当たった」とは自慢しにくいところがあります。

欧米経済よりも1周遅れて走っていたように見えた日本経済が、実は1周速く走っていたのです。
日本は他の国より20年も早くバブル崩壊を経験し、まさに「バブル崩壊の先進国」なのです。
欧米のバブルは2006年ごろからおかしくなっていたのですが、徐々に顕在化していったのが2007年。
そして2008年のリーマンショックは、その総決算ともいうべき現象で、これでハッキリとバブル崩壊が世界に認知されました。

「世界経済がいったいどうなっていくのか?」と先が見えないのが一番不安なのですが、日本のバブル崩壊後と同じような道をたどることが分かっているので、私たちには「先は見える」のです。
政治さえ邪魔しなければ、日本経済には底堅い力があります。
円高もあり、輸出企業にとっては厳しいものがありますが、円高のおかげで日本はインフレ(食料や身の回り品の値上げ)にならずにすんでいるのです。
円高不況のみが声高に叫ばれていますが、この円高を活用して、日本企業は静かに海外の同業企業をM&Aしていっています。
ハッと気がついたら、日本企業が世界シェアを大幅にアップしていたということになるような気がするのです。

増税に政治生命をかけるという首相もいますが、同じかけるのなら「経費削減」にかけてもらい、増税しなくてもすむようにしてほしいものです。
「復興のために消費税をアップする」ではなく、むしろ復興まで消費税をゼロにしてもいいのではないかと思うのです。
仙台の友人の話を聞いていると、復興経済で景気は絶好調のようです。
経済が調子いいと、自ずと税金も増えるというのは実に当たり前の話なのです。
貧乏神をいつまでも日本に“のさばらせて”いてはいけないのです。