会社方針書と人生方針書 その2

斎藤一人さんの本を読んでいてハッとしたことがあります。
震災で会社がなくなってしまった経営者がいます。
その人は20年間働いてきて、借金が3,000万円残っているとのこと。
3,000万円の定期預金なら分かるけれど、懸命に20年間も働いてきて3,000万円の借金というのはおかしいんじゃないかと“ひとりさん”は言うわけです。
言われてみればその通りで、何のための20年間だったのかとガクッとしてしまいます。
この場合はきっと経営方針書がなかったからなのでしょう。

会社の経営は借り入れしてするものだと勘違いしている人がいます。
中には「銀行から借金できて一人前」なんて思い込んでいる人もいます。
確かに事業の中には、借り入れがどうしても必要な業種もあります。
例えば不動産業であれば、分譲事業やビル賃貸業であれば、借り入れが必要かもしれません。
しかし仲介業や管理業は、借り入れをしなくてもやっていける事業のはずなのです。

最初に膨大な投下資本が必要な業種に、ホテル業や航空業があります。
さすがにこれらの事業は、全額自己資金というわけにはいきません。
ホテル事業は建物や設備に最初に莫大な資金を必要とし、また途中でもリフォームのため相当の資金が必要となります。
航空事業も機体や施設をそろえるために、これまた大変な資金がなくてはなりません。

ホテル事業や航空事業の特徴として、最初に資金を投下したらそれで終わりというわけではなく、事業を継続するためには、たくさんの人をマネジメントし続けなければいけないという点が挙げられます。
膨大な資金もいるし、大量の人もいるというのは、相当難しい事業なのです。
むろん固定資産所有会社と事業運営会社が一体とは限らないのですが、それにしても難しい。

邱永漢さんは年間100回以上飛行機に乗っているそうですが、航空会社の経営の難しさを熟知しているので、航空会社の株を買おうとは一度も思わなかったとのこと。
たとえそれがシンガポール空港であったり、キャセイパシフィックであったりしても、です。
そのことをもっと早く読んでおれば、JALの株を400円で買って7円(!)で売らなければならないなんてことはなかったのにと、ちょっと残念に思う次第です。