会社繁栄「掃除道」 その9

20年ぐらい前の話です。
一倉定先生の講演を聞いていたら、ある東京の一流ホテルのことをボロクソに仰っていたことがありました。
一倉先生が特定の会社のことをクソミソにこき下ろすのはよくあることなので、そんなに気にも留めなかったのですが、何としばらくして、そのホテルから食中毒が出たのです。
食中毒後、そのホテルのどこが悪かったのかを一倉先生に尋ねたところ「掃除が行き届いていないところがあったから」とのご返事。
掃除がシッカリ出来ていないと事件か事故が起こりやすいのです。

社用車をたくさん使っている会社があり、事故が多いので、その会社の社長は困っていました。
そこで一度徹底的に全車両の洗車をすることにしたのです。
それも毎日。
すると目に見えて事故が減ってきたのです。
キレイな車に乗ると、おのずと心も整い、安全運転につながるということなのでしょう。

ついでに言うと、車にキズがついたときは、すぐに修理するのだそうです。
破損したまま運転すると、気持ちまで荒(す)んでしまうからでもあります。
はっきりとわかるキズを修理もせず、そのまま乗り回していると、その人の人格まで疑われてしまいます。
もしそんな車で営業に来られても、その会社を信頼できないのは当然のことです。

これもずっと以前の話なのですが、北陸の有名な禅宗のお寺に行ったとき、掃除がキチンとされていない個所を発見しました。
大勢の修行僧がいて、掃除にはかなり力を入れているはずなのに、不思議な気がしたものです。
ところがその寺で修行した僧が覚せい剤で逮捕されたとの新聞記事を読み、ビックリしたことがあります。
何か具合が悪いことがあると、それが掃除の状態に表れるということなのかもしれません。

逆に、掃除には厄除けの効果があると言えるのではないでしょうか。
きちんと「整理・整頓・清掃」が行われている空間には、なかなか厄が入り込んできにくいのです。
掃除をしながら傲慢な気持ちを持ち続けるのも難しいことなので、心も形も自然に整うことになります。
体が整っていたら病に対する抵抗力が強く、カゼを引きにくいのと同じ原理なのです。