世界動向をみる その4

ロシアが一流の資本主義国になれない理由の一つは、サービス部門の後進性です。
サービス・マインドが極めて低い「サービス後進国」なのです。
ソ連の崩壊を促(うなが)したものに、マクドナルドのモスクワ出店があったのではないかと、私など本気で思っています。
ソ連はモノを買うのに長い行列を作らなければならなかった国で、また店員も「売ってやる」といった態度。
ソ連の国営航空のスチュワーデスなど、愛想の何もなく、とてもサービス業とは思えないとは、乗ったことのある人の話。

そんな国で、笑顔とともにハンバーガーを提供する店が現れ、モスクワ市民にとっては物凄いカルチャーショックだったに違いありません。
ただしマクドナルドはあまりの人気に、やはり行列しないと買えなかったようです。
長蛇の列に並んでおられないとばかり、ロシアのマフィアが割り込みをし、ひんしゅくを買っていたとの新聞記事を読んだこともあります。

「世界にはこんなサービスをするところがあるのだ。ひょっとしたら自分たちの文明はレベルが低いのかもしれない」と国民が思ったとしても不思議ではありません。
結果、国の体制が崩壊したという次第です。
実際、モスクワにマクドナルド店が出店した後、しばらくしてから、ソ連邦は音を立てて崩れていきました。

今のロシアと日本は競合する点が少なく、経済面ではむしろ協力しやすいのではないかと思います。
ロシアの資源、日本の技術です。
ロシア人は実は親日的だと聞いたことがあります。
またロシアは共産主義の時代から「借りた金は律義に返す」という信用があるのです。
恵まれた資源があるからこそかもしれませんが、1998年のロシア経済危機での海外からの借款ももう既にすべて返還済みだそうです。