世界の動き その2

世界金融危機後の為替の不思議な動きがあります。
経済危機の発祥国であるはずのアメリカの通貨ドルが、他の国の通貨に比べ高くなったのです。
円はさらにそのドルよりも高くなりました。
言わば通貨に関しては円の一人勝ちなのです。
円高によって日本の輸出産業は厳しくなりますが、輸入は逆に楽になります。
原材料だって原油だって安く買えるわけです。

安く買えるのはモノだけではないのです。
実は2008年の世界経済危機以来、日本の企業が海外の企業をM&Aで買う動きがよく見られるのです。
円高だから、以前よりも少ない投資額ですむのです。
この動きは大規模な投資額の割には、あまり話題にもならず、静かに進行している感があります。
経済危機が終わり、ハッと気がついたら、日本の企業が海外での基盤をしっかりと築いていたということになるかもしれません。

ユニクロが快進撃しています。
ユニクロの戦略やビジネスモデルが、今の経済の状態とピッタリなのでしょう。
単に安いと言うだけではダメで、要は「お値打ち品」。
不動産だって値ごろ感のある商品は、こんな状況でも売れているのです。
コストを下げて安物を作るのではなく、いかにコストを下げて「いいもの」にするか。

売上原価だけでなく販売コストも、インターネットの普及によって激減する可能性があります。
売店や販売員が必要なくなる業種や商品も出てきました。
例えば不動産業界でも、マンスリーマンションやシェアハウスの客付け業務は100%インターネットです。
街の不動産店を全く通さないわけです。

既存の不動産ネットワークを通さないものだから、不動産業者自身がマンスリーマンションやシェアハウスのことを、よく知らないのです。
気がついた時には賃貸市場の半分は、マンスリーマンションやシェアハウスが占めていたということにもなりかねません。
仮にそうなったら、既存業者の市場規模は半分になるわけです。
どんな産業でも売上が5割も下がったら、経営は成り立ちません。

進化論の要諦は「強いものが生き残るのではなく、うまく変化するものが生き残る」なのです。
「どう変化させればいいのか?」はそう簡単に分かるものではありません。
しかし上手く変化できるように、会社をシンプルにして準備しておくことは、ものすごく大切なことだと思うのです。
損益分岐点を低くさせたり、キャッシュ・ポジションを高めたりしておくことも「変化のための準備」の一環です。
その上で経営者の頭を十分に柔らかくして変化の方向を探る。
考えようによっては、こんなに面白い時代はないかもしれません。