消費税のこと

消費税が導入されたのは、平成元年(1989年)です。
時の総理は竹下登さんであったことを覚えています。
直接税だけでは、今後の社会は支えていくことが出来ず、どうしても間接税が必要であることや、欧米の消費税率は15〜25%ほどもあるということを、私も理解していたつもりです。
しかしながら今振り返ってみて、本当に消費税導入は正しかったのかどうかが疑問に思えてきました。

私は不動産業界のことしか分からないのですが、消費税導入前に駆け込みの住宅着工が多くあり、消費税導入後はその反動もあって、ガクッと落ち込んだことも覚えています。
消費税はモノの価格を高くするわけですから、消費を抑える役割をすることは間違いありません。
日経平均が平成元年(1989年)12月29日に最高値38,915円を付けたことでも分かるように、偶然かどうかは分からないのですが、消費税導入の年がバブルのピークでありました。

消費税導入以降、私の感覚ではずっと不景気であったように思います。
その間、昨年のサブプライム・ショックまで、欧米の景気はとても良く、日本一人がカヤの外でありました。
途中日本の景気も息を吹き返した時があったのですが、そのメインの要因は「中国特需」。
けっして内需の拡大ではなかったわけです。

給与所得者の所得も上がらず、消費者物価もむしろ下がり気味であります。
スーパーや量販店は、価格を必死で下げる努力をしています。
不動産業界でもそうなのですが、今の一番のポイントは「価格」。
不動産業界の場合は「割安感」と言い換えてもいいかもしれません。
ここで物価がドンと5%下がるなら、かなりインパクトがあるのではないでしょうか。

けっして批判のための批判で言うのではないのですが、バブルの時に一番儲けたのは、税金を徴収した政府であったことは間違いがありません。
そのお金があれば財政赤字で苦しむということもないような気がするのですが、お金はどこへ行ってしまったのでしょうか?
埋蔵金」として隠してあるのなら、まだいいのですが…。
当時の大蔵省も日銀も、バブルつぶしに躍起になり、絶好調だった日本経済をガタガタにしてしまいました。
国土庁の国土法という法律も、市場経済を歪(いびつ)にし、不動産流通に大きな障害となっていたことを覚えています。

消費税の撤廃は民主党でも言っていません。
税収を増やそうとして消費税を導入したわけですが、そのために税収が減っているかもしれないわけです。
消費税を取るために、公務員の人件費をはじめ、さまざまな経費がかかっていることも事実です。
収入を減らし、逆に経費を増やしている。
民間企業なら「やめる」決断をするかもしれません。
1年間消費税を止めて、様子を見てもいいかもしれないという気がしてきました。