デフレの時代

長谷川慶太郎さんの本を読んでいると、基本的な認識は次のとおりです。
ソビエト連邦の崩壊によって、冷戦も終わった。従って大きな戦争はもうない。よって経済はデフレ基調となる」。

長い間インフレ経済が続き、それを前提に企業も個人も政府も行動していたのですが、突如としてデフレの流れとなり、どう対応したらいいものか迷って“あたふた”としていたというのが現状ではなかったでしょうか。
「インフレ」と「好況」とは違うように、「デフレ」と「不況」も同じものではありません(よく似てはいるのですが)。
政治家やマスコミの中でも、デフレと不況とを混同している人がたまにいるので、世間が混乱してしまいます。

イギリスが最も輝いたのはヴィクトリア王朝の時代ですが、この時は長い間デフレだったのだそうです。
例えば今の日本で言えば、安い中国製品が流入し、物価が下がっていく現象がありますが、かつてのイギリスも世界中の植民地から安い原材料や商品が入ってきて、物価が下がっていったのだと思います。

インフレの時代は、放っておいてもモノは売れていきます。
わが不動産業界でもそうなのですが、インフレの時代はとにかく不動産を買いさえすれば儲かるので、経営が安直になります。
それに対しデフレの時代は知恵を絞らなければ生き残っていけません。
「賃貸」一つとっても、地味ですが技術革新がなされ続けています。
ましてや工業製品や小売商品は「いいものを安く」しないと売れないわけですから、技術革新なくしては産業自体が成り立たないと言っても過言ではありません。

私自身の経験で言えば、35歳まではインフレ基調。
そのあとはずっとデフレでした。
実体経済が拡大しないのにモノの値段が急激に上がることをハイパーインフレと言います。
ハイパーインフレという言葉はあるのに「ハイパーデフレ」という言葉は聞いたことがありません。
株価が10分の1になったり、農産物の価格が3分の1になったりするのは、デフレではなく恐慌と言うのでしょう。
1929年の大恐慌でのアメリカの失業率は25%だったのだそうです。
今回の経済危機でも一番気をつけなければいけないポイントは、やはり失業率だと思います。