世界経済を考える

世界の中央銀行のような存在に、IMF国際通貨基金)と世界銀行とがあります。
IMFアメリカ主導、世界銀行はヨーロッパ主導と本で読んだことがあります。
IMFは1997年のアジア通貨危機アジア諸国の救済に乗り出しました。
カネを貸すのはいいのですが、一国の経済体制を徹底して変革(破壊)させる勢いでした。
まるで敗戦国に対する処置のような感じが傍から見ていてしたものです。

ハッキリ言ってちょっとやりすぎ。
韓国にもIMFが入ったのですが、今まで経済を引っ張ってきた財閥がバンバン解体されていきました。
IMFはきつい薬のようなもの。
副作用も相当大きいように思います。
日本経済もしっかりし、けっしてIMFに隙を見せるようなことがあってはならないと思ったものです。

そのIMFが世界経済の見通しを発表しました。
2009年度の世界全体の予想経済成長率はマイナス1.3%。
中国はプラス6.5%。
インドは4.5%。
アメリカはマイナス2.8%。
ユーロ圏はマイナス4.2%。
そして日本はマイナス6.2%。
先進7カ国(G7)で最悪の予想となっています。
今回の経済危機では、日本経済はどう考えても他国よりも有利なポジションに位置するように思うのです。
それが最下位の予測とは…

今までなら「世界のエリートが集まっているIMFがそう言っているなら仕方がない。日本経済はやっぱりダメか」で終わっていたかもしれません。
が、今回の金融危機アメリカの格付け会社投資銀行(証券会社)がいかにいい加減だったがよく分かったので、もう騙されないといった感じです。
日本経済がそこまで舐められてたまるかという闘志すら湧いてきました。
2009年が終わった時、果たしてIMFの予想が当たっているのかどうかは、ひじょうに興味のあるところです。

たまたまサブプライム問題が出たので、一挙に世界金融危機が表面化しましたが、本当はその前から世界のバブル経済が弾けかけていたのです。
日本の都心を中心としたミニバブルにしろ、ハッキリと崩壊の兆しを見せていました。
もっともサブプライム問題だって、アメリカの住宅バブルが潰れそうになったからこそ発生したとも言えますが。

気持ちよく不動産バブルに乗っていたイギリスやスペインは特にその反動がきついと言えます。
イギリスの公定歩合はここ300年間3%を割ったことはなかったのですが、今は確か1.5%。
今までで一番厳しい状況だとも言えます。
スペインも欧州の富裕層の別荘ブームで思いっきりバブルしていたのですが、ここにきて失業率はなんと17%。

今までは世界経済はアメリカの消費に頼り、アメリカ人は借金してまで生活を謳歌してきました。
どうしてそれが可能だったかと言えば、世界のおカネが投資資金としてアメリカに再び入ってきたから。
日本や中国が貿易収支の黒字分でアメリカの国債を買ったり、アラブの石油産国の資金の行き先がなく、やっぱりアメリカに流入したり。

ここらでそういった構造を断ち切らなければなりません。
需要と供給のギャップが不況ということですから、需要を創造していかなければなりません。
かつてのIT産業のように、新しい産業が生み出され、それが経済を引っ張っていくのが理想です。
日本も内需拡大が必要で、投資効率のいい公共投資に着手する絶好のチャンスでもあります。
成田・羽田間の画期的な高速運送手段の開発や東京・大阪間のリニアモーターカーなどは、十分に採算の取れる魅力的な投資でもあると思うのです。