読書の威力

きのう本を読んでいたら「読書は成功への投資」という言葉と出会いました。
確かにそういった一面はあるように思います。
また「読書には自分を進化させる力がある」とも。
この人はビジネスでの仕事がよく出来るタイプで、読書を核として仕事の原動力にまで高めているのはさすがでした。

自分一代で会社を上場にまで持っていくような「やり手」の社長が本をよく読んでいるかといえば、そうでもないような気がします。
不動産賃貸業界で「商売の天才」ともいうべき若手経営者がいるのですが、この人に読書数を聞いたことがあります。
「60冊」との答えだったので、てっきり「月に60冊」だと思ったのですが「年に60冊」でした。
読書数と経営手腕とはほとんど正比例していないように思います。
私など「経営者なのに読書にかなり時間を割いている」状態に、何となく引け目すら感じています。
だから「読書は成功への投資」などという言葉を聞くと、うれしくなってしまうのです。

読書が「事業成功への投資」かどうかはともかく、「人生成功への投資」であることは間違いがありません。
本をよく読んでいると、相当高い確率で「いい人生」が歩めるように思います。
以前に結核で長い間入院したことがあります。その時病棟には、人間的にも社会的にも「どうしようもない」人たちが少なくなかったのですが、これらの人たちに共通していたのは「本を読まない」。

話をしていて、話の内容が面白い人は「本をよく読んでいる」か「旅によく出る人」が圧倒的に多いように思います。
本を読まない人は「条件反射」と「反射神経」だけで生きているような気もします。
だから話が面白くない。
ましてや面白い文章など書けるわけがありません。

私より3つ年下の、ある宗教家がいます。
この人は今まで本を400冊書いているのですが、宗教的才能に恵まれているので、インスピレーションでどんどん書けるのだと思っていました。
ところがその人の蔵書は10万冊あるのだそうです。
宗教的インスピレーションだけでなく、この世的な知的蓄積があってこそ、いい本がたくさん書けるのだということを知りました。
実はそれに刺激を受けて「年1,000冊」に挑戦しているというわけです。

年1,000冊は月で言えば83冊。
昨年末の自宅引越しの時期はさすがに読めなかったのですが、それ以外の月はけっこうあっさりと読破できています。
学生時代は月20冊ぐらい。
社会人になり、何かの拍子で30冊になりました。
阪神大震災で「同じ死ぬなら月50冊の本を読もう」と決めました。
読んでいくと意外に余裕があり、程なく月60冊に。
そして先ほど述べた、ある宗教家に刺激を受け月83冊に。
もう少し仕事を工夫すれば、月に100冊ぐらいは読めそうな気もしています。

「年1,000冊の読書を続けていれば何かが生まれる」と予感して始めたのですが、それは確信に変わってきました。
例えばサブプライム問題から端を発した世界経済の動向に注目しているのですが、たくさんの本を読破することにより、将来が見えてくるような感じがしています。
一つのことについて10冊本を読めば、その件は大体把握できるし、100冊読めば一家言持つことができます。
1,000冊読めば専門家のような顔すら出来ます。

いかに本を読む時間を確保するかは、いかに「つまらない」時間をカットするか。
ひょっとしたら、やらなくてもいいようなことを一生懸命やっているかもしれません。
そういったことをすべてカット。
だから本気の読書は生活革命にも繋がっていくのだと思います。