不動産の賃貸契約は、昔から何となくスッキリしないものを感じていました。
賃料の上げ下げの問題もそうですし、家主側からの契約解除の申し入れの件もそうです。
きちんとした基準がないと、実務的には“やりにくく”て仕方がないのです。
そこですべての契約を定期借家権にしてはどうかと考えました。
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定期借家権は外資による収益不動産購入も念頭におかれているので、従来の日本の賃貸契約の曖昧模糊(あいまいもこ)さを取り除く意図が図られています。
定期借家権について書かれた本をインターネットで取り寄せる一方、東京で不動産業を営む友人のTさんにメールで相談してみました。
以下はTさんからのご返事の一部です。
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「通常の賃貸管理については、数年前に定期借家契約を積極的に取り入れておりましたが、これも一長一短で最近は普通借家契約に戻しつつあります(但し当社が貸主物件は全て定期借家契約)。
再契約をするかどうかは家主が決定できるのが定期借家契約のメリットなので、不良入居者を減らすという効果は確かにありました。
しかし不良入居者は本当に一握りの入居者のみで、管理物件の98〜99%は再契約をしていました。
一方で、管理物件を定期借家契約にすると、2年毎に重要事項の説明をしなければならなくなり、郵送での契約ができなくなりました。
これが非常に大変な作業になってきました。
入居者もわざわざ来店することを嫌い、来店日の日程調整ひとつとってもなかなか大変です。
ほんの一握りの悪質入居者のために、その他大勢の契約を犠牲にしなければからないのでは、得る利益よりも失う損失のほうがはるかに大きいと感じました」
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たしかに一長一短なのでしょう。
ほかにも契約終了の通知の連絡も、実務的にはけっこう大変であると推測できます。
定期借家権は、上手く活用すればその威力を存分に発揮しそうですが、今のところは少し使い勝手が悪いところがあるようです。
いずれにせよ、ちょっと本気でこの問題を研究していこうと思っています。