1日1ハガキ

いい人生のためには丁寧(ていねい)に生きること。
道具でも丁寧に扱うと、モノ自体の値打ちが上がってきます。
車でも丁寧に運転すると燃費効率もいいし、車も長持ちするし、第一事故が激減します。
ていねいな生き方をしていると、いつの間にかそれが人格の奥深くにまで浸透し、上品さが漂ってきます。
年を重ねるにつれ、上質な生き方を追求していきたいものです。

紙を折る時でも、端と端をきちんと揃(そろ)える。
切手はまっすぐ貼る。
タオルを干す時も、タオルの耳と耳をビシッと一つにする。
時間はかかるけれど、一つ一つの作業をそういったやり方で貫いていくならば、とてもいい人生になるに違いありません。
茶道は、考え抜かれた最高に効率的な作業を、自分のものにするまで繰り返す訓練。
形が整うと次第に心も整ってくるのです。
日常生活の取るに足らない作業でもそんな心構えでやりたいものです。

「この人は上質な生活をされているなあ」と私が思う人は、なぜかハガキ(手紙)をたくさん書かれています。
これは不思議なくらい共通した現象。
ハガキは相手の時間の邪魔をせず、しかも必ず本人ところに届くばかりでなく、時として心の奥にまで到達してしまう力を持っています。
私も昔はかなり筆まめだったのに、最近はトンとご無沙汰。
これは反省。
たくさん書こうと構えるから書けないのです。
一日一枚でもいいから、書き始めようと思います。

ハガキのパワーのすごさは、ハガキ道の坂田道信さんが口をすっぱくして説いておられます。
その趣旨は唯一つ「ハガキを書き続けると人生が変わる」。
鍵山秀三郎先生なども、気が遠くなるほどの量のハガキを書かれています。
将来「鍵山秀三郎記念館」が出来たら、インクを最後まで使い切ったボールペンの束が、いくつも展示されるのは間違いありません。
まずは1日1ハガキ。
ハガキをもらいなれていない人ほど、受け取ったときの感動は大きいと思うのです。

私の目指すのは「読書を中心とした穏やかな人生」。
幸い読書の方は過去最高のペースで読めています。
「穏やかな人生」の方も忘れずに、生涯かけて追求していこうと思います。
そのためにも過激な言動を排除し、中庸の行き方を。
中道こそ王道。
道の端を歩いていては危ないし、スピードが出ないのです。

幸不幸に心が左右されてはならないのです。
モノゴトには波があり、上昇したり下降したり。
波と一緒に一喜一憂していては疲れるだけです。
心を水面に置くから波に翻弄される。
心は水底深くにそっと置いておくべきなのです。
幸不幸にとらわれず、やるべきことを淡々とやっていく。
実際は難しいかもしれないけれど、こんなカンタンなことが真理なのですね。
そう、真理はいつもシンプル。