掃除の目に見えないパワー

掃除をやったからお金が儲かるとか、いいことが起きるとか、そんな単純なものではないと鍵山秀三郎先生はおっしゃいます。
ついでに言うと、掃除にパフォーマンスはいらないと思います。
できるだけ人知れず掃除をやっていく。
だから早朝がいいのです。

どんなことでも続けていくと、思いもよらぬ世界が開けてくるものです。
「10年偉大なり。20年畏(おそ)るべし。30年にして歴史なる」という言葉があります。
継続のすごさをドンピシャリ言い当てています。
掃除の世界だって同じこと。
鍵山先生はこれらの地点を全部通ってこられました。

10年でほとんどの社員が掃除をする会社になり、20年で全国から掃除研修に来られるような会社になり、30年で「掃除に学ぶ会」の世界大会が海外で行なわれるようになりました。
掃除によって広島県から暴走族がいなくなり、新宿歌舞伎町の犯罪率が低下したという実例もあります。

私も鍵山秀三郎先生とご縁をいただいて18年。
ということは18年間掃除を続けてきたということでもあります。
だからもうすぐ「20年畏るべし」の世界。
これを楽しみにしているし、たぶん「30年歴史なる」にも突入できると思います。
で、これで境地が終わるかと言えばそうではなく、実は「50年神の如し」という世界が待っているのです。
鍵山先生は既にこの世界。
だからもう菩薩の境地。

掃除は漢方薬のようなもので即効性はありません。
しかしP/Lには効かなくてもB/Sには効いてくるのです。
掃除を続けていると、いつのまにかB/S、即ち財務内容がよくなっていきます。
これは私自身の実体験。
自信を持って言うことが出来ます。

「掃除をすればお金が入ってくる」といった安直な教えの「そうじ本」に、鍵山先生は苦言を呈されているのですが、もう一つ言えば「安直そうじ本」は小乗で終わっているのです。
大乗にはなりえていない。
つまり自分の家やせいぜい会社をきれいにする程度で終わっていて、街やほかの地域をきれいにしようという発想がないのです。
掃除を続けていると心境はどんどん変化してきます。
今の私の外を掃除する時の気持ちは「日本を荒(すさ)みから守ろう」。
少しでも多くのゴミを掃き清めたいという気持ちが強くあります。

掃除をすると目に見えるものは勿論(もちろん)のこと、目に見えないものが整ってきます。
例えば「氣」が通るようになるし、こびりついた汚れが悪さをしなくなるし、ピカピカになった所からはオーラが出てきます。
心の変化などは、目に見えないものの最たるものです。
掃除を続けていくと謙虚になっていくというのは本当ですが、私自身は根気が自分でも驚くほどつきました。
鍵山秀三郎先生と出会って、人生が180度転換しましたが、その鍵山先生を支えているものは掃除。
誰でも出来ることなのに、こんなにパワーを持ったものはほかにはちょっと思い浮かびません(と書いていて「笑顔」もあるかなあと思い浮かんだのでありますが)。