経営計画書を考える その2

経営計画書を考えるにあたり、売買仲介ほど数字の読めないものはありません。
毎年正月に「今年も本当に契約が上がっていくのだろうか?」と不安になる経験は、どうも私一人ではないようです。
数字は読めないけれど、どういうエリアで、何をターゲットにするかの枠組みだけは、しっかりと決めておかねばならないと思っています。

売買仲介のエリアは、店から車で15分以内のところ。
欲を言えば歩いて行けるところがいいですね。
車を運転していると仕事をした気になりますが、移動自体は本来の仕事ではありません。
多人数の営業マンを揃(そろ)え、広告をバンバンと入れていく方法は、いい時はいいのですが、状況が反転すると、ひじょうに経営が苦しくなります。
私自身も何度も経験してきました。

売買仲介だって、固定費を低くしておくべきなのです。
特に紙媒体の広告は、やりだすと切りがありません。
思い切ってインターネットと現地看板に絞ってもいいかもしれません。
インターネットの特長は、コストがあまりかからないこと。
だのにいくつものサイトに登録したり、検索エンジン対策などと余分なエネルギーは使ったりしないほうがいいような気がしています。
要は価格的なことも含めて、物件に魅力があるかどうかが一番の問題。
そこを忘れて販売テクニックに走ることもないと思うのです。

売買仲介のコツは、根付け側に回ること。
いかに売れ筋の物件を受託していくかが、最大のポイントです。
基本は根付け、そして上手くいけば両手。
そういった考え方でいいのではないでしょうか。
「買い」は担当者の魅力。
「売り」は会社の魅力です。
「売り」を取るには、狭域エリアでのきめ細かい動き。
街のパトロールや「求む売り物件チラシ」のポストインはやっぱり有効だと思います(なかなか長続きしないのですが)。

当社の3つの事業のうちの一つ、コインパーキングについて考えてみます。
当社のビジネスモデルは「自社所有の自社運営」。
借上げ方式ではなく、土地の取得から行う方式です。
従って「いけるかどうか」を判断する目利きが非常に大切。
目利き力を高めるには、数をこなすしかありません。

不動産市場に出ている物件の中から、コインパーキングに適したものを丹念に探していくのはもちろんのこと、常に売り物件に対しシミュレーションをやってみるべきでしょう。
また既存のコインパーキングを見てまわることも有効です。
今年はバタバタして、あまり動くことが出来ませんでしたが、来年は週のうち3日間は、外回りの日として予定に入れています。

予算的には、あと3ヵ所の新規オープンが精一杯だと思います。
来年はファンドバブル崩壊の影響で、抱き物件がたくさん市場に出てくる可能性があります。
いい物件ほど後から出てくるという傾向性もあります。
妥協せずに、じっくりと吟味していくべきだと思っています。
収益的には、自社所有方式に勝るものはありません。
コインパーキング専門会社のように数を追うことなく、ノウハウだけはしっかりと蓄積しながら、事業を進めて行きたいと考えています。