経営を考える

いかに力を一点に集中させるか。
集中すると、ものすごい力が出ます。
一点に集中させるためには、複雑ではダメなのです。
逆に言えば、シンプル化こそ成功への鍵。
個人の生活でも、会社の業務でも、同じことが言えそうです。

もう一ついえることは、不自然なことは続かない。
不自然なことばかりをしていて、いっとき繁栄しているように見えても、必ずあとでその反動が来ます。
90年バブルは異常だったわけですが、私はその異常さが永遠に続くような錯覚に陥っていました。
「これはおかしい」とさっと手を引いた人は20人に一人ぐらいいたかもしれません(つまり5%ぐらい)。
が、大多数の人たちは気持ちよくバブルに乗っていたのではないでしょうか。

相当あこぎな商売をやっているのに繁盛している。
しかもけっこう長く持っている。
そんな例もなくはありません。
ヒトラーだって10年ぐらいは大成功していたわけですから。
真の成功かどうかは、相当長いスパンでないと判断できないのです。

アメリカの住宅バブルを見ていて、バブルの先輩経験者としては、危なっかしくて仕方がありませんでした。
「バブルがもうハジける、もうハジける」と言い続けて10年(長すぎます)。
サブプライム・ローンの問題で、住宅バブルに急ブレーキが、やっとかかったという具合です。
サブプライムの問題では、欧米に比べあまり影響がなかったといわれる日本の金融業界でも、野村證券が1,500億円もの損失を出しました。
イギリスではNorthern Rockという銀行で取り付け騒ぎまで起こりました。

会社経営を考えます。
まず事業のシンプル化。
選択と集中」なのです。
決断の中で一番難しいのが、やめる決断。
やる決断は比較的しやすいのです。
当社の事業を3つに絞りました。
「売買仲介」と「賃貸管理」と「コインパーキング」。
営業範囲もぐんと狭域エリア化。
損益分岐点もまた一段下げることが出来ました。
安定した固定収入で固定費用が賄(まかな)えたら経営的にはひじょうに楽なのですが、あともう一歩のところまで来ました。
借入れはゼロ。
交際費もゼロ。
月に何十万円もかかっていた紙媒体の広告も全部やめてゼロ。
広告はインターネットと現地看板に特化することにしました。

少ないスタッフで今一番悪戦苦闘しているのが賃貸管理部門。
基本的には一切合財アウトソーシングしたのですが、システムを変えたばかりで、スムーズに移行するためには、もう少し時間がかかりそうです。
今まで5人ほどでやっていた仕事を2人でこなすわけですから、当面は混乱しない方が不思議なくらい。
せっかくの機会なのだから、カイゼンカイゼンを重ねていきたいものです。
管理戸数の多い管理会社でも、システム的に
うまく考えてやっているかといえば、そうでもない場合が少なくなく、この際、日本の最先端の管理システムを目指そうと思っています。

コインパーキングは土地から購入しているのですが、予算的にはあと3ヵ所。
いい土地はいつ売りに出るのか予測がつきません。
不動産の全体的な流れとしては、業者買取り物件が市場に出てきそうです。
かつてのバブル時のように、資金繰りが苦しくなったところから、値段を下げて物件が売りに出される。
しかもあとになるほど、いい物件が安く出てくるという現象が起こる可能性があります。
それまでに「目利き力」を十分に磨いておきたいものです。
ただ当社としては、不動産の状況にあまり振り回されずに、自分の目利きを信じて、気に入った物件を順々に3つ購入するというスタンスでいきたいと考えています。

社員数は少なくなったけれど、今一番うれしいのは、各自がその特性を発揮し出してきたということです。
将棋で言えば、桂馬なら桂馬の、金なら金の、飛車なら飛車の特性がハッキリ出てきました。
今までイマイチ能力がフル回転していなかった人も、頼れる人材になってきました。
当社の目標の「超優秀な家内企業」に少し近づいてきたことを実感しています。