王冠をかけた恋

“The LOVE of a KING”という英語の本を読みました。
薄いし簡単だし、最後まで辞書を引かないで読めました。
英語の本を読み終えると、すごい達成感がありますね。

イギリスの王様になったウィンザー公が、王位を捨ててシンプトン婦人と結婚するという有名なお話。
「銀座の恋の物語」どころではなく、王冠をかけた恋の物語。
ウィンザー公は、王様であった父親の急逝で王位を継いだのですが、その時はまだ独身でした。
第2次世界大戦前の、そんなに古い話ではありません。
具体的には王位を弟に譲ったのです。
エリザベス女王チャールズ皇太子は、譲られた弟キングの子や孫になります。

写真もたくさん載っているので、シンプトン婦人がどんな人かも分かりました。
超美人というわけではないですが、スリムでチャーミングで、とても気品があります。
社交界の花だったというのも頷(うなず)けますね。

シンプトン婦人は離婚暦もあるし、現“結婚中”でもありました。
つまりウィンザー公とは3度目の結婚(しかも相手と離婚しての結婚)。
おまけにイギリス人ではなく、アメリカ人。
これがイギリスの王位承継者と恋に陥るのですから、当時としては上へ下への大騒ぎだったに違いありません。

二人並んだ写真もいくつかあるのですが、その上品さと優雅さに惚れ惚れします。
結婚したのが43歳と40歳だったようで、ちょっとチャールズ皇太子を思い出しました。
フランスで行なった二人の結婚式には、反対している王室関係者は一人も来ず、以来2人は30年間一度もイギリスの土を踏まず。
ただ、今は2人そろってイギリスのウィンザー城に葬られています。

とまあ、見方によってはロマンチックで、ひじょうに感動的な話なのですが、先日渡部昇一先生の本を読んで、腰を抜かしたことがあります。
このシンプトン婦人が、こともあろうにナチスのスパイだったのです。
ナチスの情報幹部と接触があり、これを知っていたチャーチル始めイギリス政府は2人の結婚に猛反対。
2人をその後イギリスに入れなかったのも無理ありません。
ウィンザー公もそのことは聞かされていたに違いないのですが、さてどういう思いだったのかは、ちょっと想像がつきません。