地味さは武器

不動産管理事業を行っていた時は「パトロール」と称して、街をひたすら回っていました。

回る手段はクルマや自転車や、あるいは徒歩です。

建築中の賃貸住宅や、駐車場に向いた空地を探し、あとで所有者を調べてアプローチするわけです。

この方法は相当効果的で、真面目に実践していくと、かなりの成果が得られます。

賃貸管理業をやめてからは、このパトロールを中断したままになっていました。

先日、久しぶりに1時間半ほど歩いて、街を見て回りました。

長い間おこなっていなかったので、街の色んな変化の発見がありました。

「街を知る」というのは、不動産業の基本だということを改めて認識しました。

私自身は営業の第一線からは身を引いているのですが、こういったパトロール、すなわちタウンウォッチングを継続してやっていくべきだと強く感じました。

地味だけど有益なのです。

若い頃からさまざまなセミナーや勉強会や会合に参加してきたのですが、果たしてそういったものがビジネスに有効だったかどうかは疑問です。

ヒントやアイデアを得ることができたことは勿論(もちろん)あるのですが、遊び人経営者の人脈に引っかかりそうになったこともあります。

自分を偉く見せようとして見栄を張ったり、会社の「メンテナンス」を“ほったらかし”にしたりしていると、やがて会社に魔が忍び寄ってきます。

逆に、私自身がコインパーキングをコツコツと掃除したり、タウンウォッチングを行ったりしている間は、たぶん会社がヒックリ返るようなことはないのではないかと思うのです。

「全然目立たないけれど、実は大儲けしている会社」が理想で、それを目指して頑張っていこうと思っています。

 

手帳で夢を引き寄せる

観察していると「仕事ができる人は手帳の使い方がうまい」というのは間違いがないようです。

「手帳をうまく活用する」と「将来を上手くコントロールする」とは、ほとんど同意語と言ってもいいのではないでしょうか。

手帳に記入したことはほぼ100%実現します。

これは当たり前のことであって「やる」か「やらない」かが分からないようなことで、手帳の日程を押さえたりはしないはずです。

逆に言えば「やりたいこと」を先に手帳に記入してしまえばいいわけです。

すぐにはできそうにはないようなことでも、半年後くらいに記入しておけば何とかなるのではないでしょうか。

今はデジタルの手帳を駆使している人が多いかもしれませんが、私の手帳はアナログの5年手帳。

5年手帳にしてから、もう3冊目ぐらいになります。

5年手帳にしてから運気も上昇し、仕事面でも生活面でも随分と充実してきたように感じます。

5年手帳だと、かなり先(来年以降)の予定でもホイホイと記入していけます。

これにより行動の範囲が相当広がりました。

私は約束の時間の20~30分前には行くようにしているのですが、着いた先での時間の余裕を利用して、手帳の見直しを行っています。

先の予定をチェックしていくと、思わぬことに気がついたり、新しいアイデアが浮かんだりすることがあります。

先のことを何度も手帳上でシミュレーションしているわけで、当日の行動にムダやミスがなくなります。

つまり「仕事ができる人」になるわけです。

手帳は日程をコントロールするだけでなく、夢も手元に引き寄せる力を持っているように感じるのです。

 

 

コツコツ準備

大きな会社の有利さは数々ありますが、小さな会社にも小さいが故(ゆえ)のメリットがあるのです。

まずは人の問題に悩まされないこと。

多くの会社経営者は、人や資金の問題に時間を費やされ、本来の仕事である「未来(事業)の構築」のことを考える余裕がなくなっているのではないでしょうか。

その点「一人社長」や「極小会社」の場合、余計なことに煩わされることが少ないのです。

当社も「極小会社」にしてから、随分と経営がやりやすく、また楽になりました。

「会社は大きくしなければならない」との思い込みをなくしたところから、第2の進撃が始まったと言ってもいいぐらいです。

小さな会社にすると人件費も少なくてすみます。

当社の場合、接待交際費だって基本はゼロです。

コインパーキングや不動産賃貸業という業態の特徴でもありますが、広告費もゼロ。

借入れもないので支払利息もありません。

数年前、所有オフィスのテナントさんがたまたま退去したので、そこを自社のオフィスにしました(ビルの1階から上階への移転となり、オフィス面積も4分の1になりました)。

小さなオフィスになった分、それをピカピカに磨き上げたいと思っています。

経費だけでなく、時間だって節約できるのです。

例えば会議は必要なくなりました。

すべてをケチケチでいっているのかと言えば、そうではなく、研究開発には時間と費用を惜しみません。

本や経済誌を読みこなすのは当然として、東京ビッグサイトなどの展示会には小まめに足を運ぶようにしています。

近い将来、マンション投資をしたいと思っているので、勉強を兼ねて新築マンションのモデルルームにも顔を出します。

コツコツと準備をし、コツコツとお金を貯め、次の投資に備えたいと思うのです。

 

キャッシュフロー

売上から原価を引いたものを粗利益と呼びます。

ところが手数料商売の場合、いきなり粗利益から始まるわけです。

同じ不動産業でも建売などをやっていると、売上とその原価が決算書に出て来るのですが、不動産の仲介手数料や管理手数料は粗利益スタートです。

私は28歳の時に今の会社をこしらえ、ほぼ40年間経営しているのですが、その間、ほとんどが手数料商売でした。

また経費には固定費と変動費があるのですが、変動費を無視し、固定費だけを考えればいい事業を(たまたま)やってきました。

当社の今のメインであるコインパーキング業や不動産賃貸業は、経営的にも会計的にも実にシンプルな(ストック)ビジネスです。

おまけに売掛金もなく、受取手形もなく、在庫(棚卸資産)もなく、ついでに借入れもないので、これで経営できないのはアホであります。

私の場合、ややこしく難しい事業は頭がついていかないのです。

40年間商売をしてきて、最も大切なものはキャッシュフローだと最近気がつきました。

コロナのような「まさか」が来た時でも、手元に現金があればドンと構えておられます。

話はちょっと飛ぶのですが、アマゾンはキャッシュフローが抜群の企業です。

株主報告書でも、普通はB/S、P/Lと来て、そのあとにC/F(キャッシュフロー計算書)が出て来るのですが、アマゾンの場合はいきなりC/Fが出て来るのだそうです。

アマゾンの場合、モノを売って先に現金が入って来て(ネット決済)、あとでゆっくり仕入れ先に代金を支払うという「サイト勝ち」がシステム化されているのでしょう。

アマゾンのネット販売の利益率は驚くほど低いのですが、実はクラウド事業がアマゾンの稼ぎ頭とのこと。

コンピューターの計算余力を企業に貸して利益を上げるビジネスモデルなのだそうです。

これからはアマゾンに対抗するかよりも、いかにアマゾンを活用するかを考えた方がいいのかもしれません。

 

1日17冊

f:id:deguchi:20200710000843j:plain

* 

晴耕雨読という言葉がありますが、ある大雨の日、終日、本を読むことにしました。

夜の語学のウェブレッスンの予約もキャンセルして、読書三昧。

何回か休憩したわけですが、途中、意識がなくなりそうなぐらい眠くなり、2回も睡眠を取りました。

これは長距離運転の時でも同じで、クルマ旅でも何回も後部座席で横になって寝ることが少なくありません。

1日17冊の読破は、たぶん自己最高新記録だと思います。

今はタブレットでの読書もあるようですが、私は生涯、紙の本を読んでいるように思います。

図書館で本を借りたりすることはなく、すべて自分で買って読んでいます。

また読んだ本は捨てずに(今のところ)全部自宅に保管しています。

地下の図書室の書棚の空きが残り少なくなっており、これがチョッピリ頭の痛い課題です。

高校生の時に志賀大郎先生のご自宅で、天井までうず高く積まれた本の山を見て感動した覚えがあります。

大学生の時に渡部昇一先生の蔵書用書庫のことを本で知り、潜在意識の中でそういった空間をイメージしていたのだと思います。

数十年後、そのイメージが実現化しており、今さらながら潜在意識のパワーには驚かされます。

神道や歴史の本を読んでいると、実際に神社や史跡や博物館に行きたくなり、もう人生に退屈することはなくなりました。

ビジネスだって、本を読んでいるのと読んでいないのとでは、大きな差が出て来るように思うのです。

今は現役の営業マンではないので、そんなに人と会うことはないのですが、本を通じてたくさんの優秀で有益な人たちから教えを受けています。

このまま一生本を読み続け、朽ちていくのも悪くないなと思うのです。

 

 

会計的に見ると…

黒字倒産リスク」や「粉飾決算」をチェックする場合、B/S(バランスシート・貸借対照表)の左側の項目に、書かれた数字通りの価値が、果たしてあるのかどうかを確認しなければなりません。

売掛金」が資産に計上されていても、現金を回収して初めて本当の資産になるのであって、取りっぱぐれのリスクは常にあります。

また「在庫(棚卸資産)」がそのままの価値で販売できるのかどうかも疑問です。

季節外れや流行遅れの不良在庫である可能性もあるわけです。

手形の習慣がない不動産業界の人間からすれば「受取手形」なんてトンデモないのであります。

コインパーキングをメインの事業にしていると、上記の「売掛金」も「在庫」も「受取手形」も全然関係なく、会計的に実にスッキリしたビジネスに“たまたま”従事していることに、改めて気がつきます(ラッキー!)。

今は金利が低いので、金利を上回る収益を上げるのは簡単ですが、元本の返済自体は経費にはなりません。

元本返済分はP/L(損益計算書)のどこにも出て来ないことに気づいた時、思わず「あっ」と声を上げそうになりました。

減価償却費」と「税引後純利益」を足した分から元本返済を行わなければならず(しかもキャッシュで)、この2つを足したものが返済額よりも小さいと一気に資金繰りが苦しくなります。

そうすると減価償却のできない「土地」を借入れで購入するなんていうのは、資金繰り的(もしくは経営的)には狂気の沙汰と言わざるを得ません。

土地から購入してコインパーキングを開設し、運営していくのが当社のビジネスモデルですが、それは資金繰り的にはかなりハードなやり方とも言えます。

だからこそ競合がほとんどないというメリットもあり、低い固定費と無借金がそれを支えているわけです。